2010年度高山市職員労働組合連合会運動方針
1. はじめに

 2008年米国で発した金融危機は世界的な景気後退の影響が残るなかで、今年4月にはギリシャ・ショックに見られる欧州発の財政赤字問題が世界同時株安を引き起こすなど、依然世界経済は深刻な状況におかれています。経済の牽引役として期待される米国、中国においても景気は拡大を続けていますが、芳しくない経済指標が散見されるなど景気減速懸念を強める材料が出始めています。
 日本経済は、徐々に回復の兆しが見えるものの、物価下落が続いており、デフレの進行による企業収益の悪化や所得の減少が懸念されます。日本経済が回復していくには、民間需要の自律的回復が必要とされていますが、設備や雇用の過剰感が払拭されていないことから、企業業績の回復が設備投資や雇用の拡大に十分に波及されていないのが現状です。また、雇用環境は完全失業率が5%前後で高止まりするなど、なお厳しい状況にあります。
 そういったなか、昨年8月には民主党、社会民主党、国民新党による連合政権が誕生しました。「国民の生活が第一」と掲げ、画期的な行政刷新会議を実施するなど、公共事業、公益団体の無駄の見直しを行い、「コンクリートから人へ」のもと、子ども手当、高速道路の一部無料化など数々のマニュフェストを実行してきました。しかし、普天間基地問題、消費税増額発言などにより支持率は低迷し、その結果、今年7月の参議院選挙では与野党が逆転し、再び「ねじれ国会」という政権運営には大変厳しい状況となりました。景気対策、雇用問題、福祉、地域社会の再生など課題が山積しているなかで、今後の政策実現には不透明感が増し、私たちの生活に不安をもたらす結果となりました。
 人事院は、今年5月に民間給与実態調査を実施しています。官民格差については昨年とほぼ同程度と言われていますが、民間の昨年冬の一時金が△10−△15%と大きく落ち込んでいること、また、民間の今年夏の一時金もわずかな落ち込みがあったことから、月例給のマイナス格差も含め今年度の人事院勧告は極めて厳しい状況となっています。
 また、50歳代後半層の公務の給与水準が民間を大きく上回っていることから、50歳台後半層の給与に一定率を乗じて引き下げを実施する提案もされており、職務給原則や能力・実績主義との関わりで整合性もないことから、年齢差別ともなる大きな問題があります。人員削減、超過勤務など負担を強いられているなかで、私たち公務員の現場のモチベーションを引き下げる不安材料となっています。
 高山市では、今年4月に第5次行政改革大綱が策定されました。市民連携のもと行財政基盤の強化を図る目的のもと、「市民協働の推進」、「組織力の向上」、「経営の効率化」、「財源の確保」の4つの目標を掲げ推進されようとしています。
 「経営の効率化」においては、第4次行政改革大綱で実現できなかった施設等の民間委託・移譲、統廃合などがあり、今後、市民サービスの水準を検証していくとともに、職場との連携を図りながら、一方的な改革がなされないよう協議していく必要があります。
 また、「財源の確保」においては、定員適正化の目標数値(平成27年度当初までに800人)が掲げられており、第3次定員適正化計画でも目標数値(850人)に到達しなかったことから、今後は退職勧奨の働きかけが強くなることが予想され、私たちに課せられる精神的負担の増大が懸念されます。
 2012年に公務員制度改革が実施されることにより、一般公務員への協約締結権付与、消防職員への団結権の付与など私たちの職場環境が大きく変わろうとしています。
 人事院勧告制度が廃止されることから、給与決定の重要事項は、労使交渉が中心となると言われており、今後の私たちの生活を維持・改善していけるかどうかは、これからの組合活動に懸かっていると言っても過言ではありません。
 今年度は政治闘争に向けての体制強化が重要となってきます。8月の市長選挙、来年4月の統一地方選挙といずれも私たちの職場環境・労働条件を左右する重要な選挙です。特に、統一地方選挙においては、私たち組合員の声を市政に反映させるためにも闘争体制を確立し、組合擁立候補者を当選させるために組合員全員が一致団結して全力で取り組まなければなりません。
 このように私たち組合員は非常に厳しい立場に置かれているのが現状です。市町村合併から5年が経過し、組合活動も浸透しつつありますが、今後、様々な障壁を乗り越えていくためには、更なる団結が必要であり、また、組合員のスキルアップが望まれます。
 まずは、私たちが抱える課題を組合員一人ひとりが認識していただき、労働組合の存在意義を考えていただくことが組織強化の第一歩と考えます。今年度も組合員の団結力強化と組織の活性化を目標に活動を推進していきます。

2. 具体的なたたかいのすすめ方
(1) 生活と権利を守る取り組み
@2010年度賃金確定闘争の推進
 地方公務員の給与に対し、地域民間給与準拠の圧力が強まっていることから、人事院勧告対策の一層の強化が重要となっています。公民給与比較方法については、社会的に公正な仕組みとなるよう、抜本的な改善が望まれます。引き続き自治労本部・自治労岐阜県本部と連携し、給与水準の維持に向けた取り組みをすすめます。
また、人事評価制度に対しては、組合が求める5原則(公正・公平性、透明性、客観性、納得性、目的性)を基に検証を行い、より実効性のある制度とするための取り組みをすすめます。
 市町村合併時からの格差是正問題については、職務の級の格付を在職年数の前職歴を用いて見直すことで了承し、今年7月1日に在職者調整が実施されました。
A給与格差の是正
 職員間の給与額の格差については、引き続き、地域間の格差、男女間の格差、臨時非常勤等職員の均等待遇を含めた1つの課題として、「同一労働、同一賃金」の理念に基づき、今後も積極的に取り組みをすすめます。

(2) 反合理化、労働条件の改悪に対する取り組み
@行政改革大綱に対する取り組み
 今年、第5次行政改革大綱が策定されました。前大綱で実現に至らなかった業務・施設が改めて民間委託や移譲、統廃合の対象となっており、その取り組みは一層厳しいものとなることが予想されます。こうした問題に対し、市民サービスの水準を検証していくとともに、職場との連携を図りながら、一方的な改悪を許すことなく、十分な協議を求めていきます。
A労働環境の整備に対する取り組み
 超過勤務に対する問題が深刻化している中で、新たに第4次定員適正化計画が策定されたことによる更なる人員削減への圧力に加え、地方分権改革により業務量が増大することが予想されることから、今後、職員へ大きな負担がかかり、超過勤務の増大が懸念されます。
職員の負担を軽減するためにも、職場の実情を検証・把握し、適正な人員配置に向けた取り組みをすすめます。
B人員削減への対応
 定員適正化計画による急激な定数削減及び業務の複雑化・多様化により、職員への負担が増大しており、住民サービスの低下も懸念されることから、適正な人員配置と将来を見据えた計画的な採用を求めていきます。
また、第4次定員適正化計画において、今後5年間で職員定数を800名にするという目標数値が掲げられていることから、今まで以上に退職への働きかけが強くなることが予想されます。公共サービスの水準維持と安定した提供体制を確保するためにも超過勤務問題と併せた対策を掲げ、適正な対応を求めていきます。
C指定管理者制度への対応
 指定管理者の選定にあたっては、公共サービスの質・水準の確保にむけて当局に対し、公正労働、雇用継続などの観点を含めた総合的評価基準の確立を求めていきます。

(3) 組織強化をめざす取り組み
@市労連組織の強化
 組織統合によって組合員は倍増しましたが、定員適正化計画に基づく職員削減により、組合員は年々減少しています。日常的に膨大な業務をこなしていく中で、組合員の組合活動による更なる負担の懸念が組織の弱体化の要因の一つともなっています。また、公務員に対する風当たりが強くなる中で、組合の組織力強化は重要課題となっています。組合の活性化をめざし、各種行事及び学習会を通じ、組合員の結束、スキルアップを図るとともに、水道労組、現業評議会、女性部、青年部の各組織、また、執行委員会、代議員会といった機関との緊密な連携をすすめます。
A支部組織の強化
 支部活動の予算執行については、実施する事業ごとに予算配当を行っています。支部組合員の減少により、事業の実施が困難な面もありますが、支部では特色のある取り組みや学習活動などがすすめられています。
更なる組合活動の活性化を図るためにも、引き続き、支部における組織強化をすすめます。
B学習活動の強化
 2012年に実施される公務員制度改革によって、公務員を取り巻く環境は大きく変化します。私たちの労働環境を維持・改善していくためには、労使交渉が重要になっていくことから、組合員一人ひとりの資質向上を図り、組織としての交渉力の向上につなげることが急務となっています。公務員制度改革後を見据えた学習活動をすすめます。
C教育情報活動
 組合活動離れが進む中、組合への求心力を高め、全員参加の組合活動を進めていく上で、教育情報活動は、組合活動を周知・認識していただく手段として重要になっています。より一層の団結力の強化を図るためにも、市労連組織内の連携を密にし、積極的な情報提供に努めます。
また、組合員が必要とする情報を迅速に提供できるようにするため、メール配信システムの導入を行います。
 D文化厚生活動
組合員と家族がふれあう機会や組合員の福利厚生の充実をめざし、家族を含めた各種活動を通じ、家族の市労連活動に対する理解を深めます。さらに市労連の活動を地域住民を含めた幅広い層の皆さんにアピールしていくため地域に根ざした活動を行います。 
E保健体育活動
組合員の健康増進と、組合員相互の親睦、交流及び職場の団結を図るため、本庁、支所を問わず、幅広い年齢層が気軽に参加できる活動を行います。
F家族組合の組織強化
 今後も組合員を取り巻く状況の厳しさが増すことから、組合員が安心して働くことの出来る環境をつくるためには、家族の協力は欠くことが出来ません。そのためには、家族の方々に組合活動を理解していただき、家族同士の連携を図ることが重要な取り組みとなります。引き続き、家族組合の活動再開に向け、組織のあり方について検討し、組織強化に向けた取り組みを行います。
G退職者会の組織強化
 会員相互の親睦及び生活の安定と福利厚生の増進を図るとともに、各種行事の開催を通じて、組合活動の先輩としてのご指導をいただき、市労連活動に活かします。
H消防職員の組織強化
 2012年の公務員制度改革によって消防職員にも団結権が付与されることとなります。
高山市においては、非組合員ではありますが、組合員と同様に活動に協力をいただいているため、組織化についてはスムーズに行なわれると思われますが、どのような体制で組合を結成するかなどの詳細については、十分な協議が必要です。今後も全消協や自治労の指示のもと、組織化に向けた取り組みをすすめます。
I保育園職場の組織強化
 保育制度改革により、最低基準の撤廃や保育労働者保護規制の撤廃など市場化に向けた規制緩和がされようとしている中で、保育の質を支えるしくみの確立が急務となっています。
高山市では、第5次行政改革大綱において保育園の民営化が掲げられており、既に保護者への説明会も実施されているのが現状であり、保育に携わる組合員の不安は増大し、保育サービスの低下も懸念されています。
引き続き、保育園部会を中心に学習活動を行いながら職場の改善と資質の向上をすすめるとともに、保護者会・関係団体との連携の中で対応をすすめます。
J地方自治研究活動の推進
 公共サービスを支える組合員が、やりがいのある仕事ができるようにするため地方自治研究活動をすすめていくことは、組合活動の中において重要かつ効果的な活動です。組合の立場からも政策提言ができることを目標として活動をすすめます。また、岐阜県地方自治研究センター等の関係機関との連携をとるとともに、執行委員会などにおいて学習の場を設け、単組地方自治研究推進委員会の立ち上げを目指した基盤づくりをすすめます。
K臨時・非常勤・パート職員への対応
 高山市においても臨時・非常勤職員が市の基幹的・恒常的な業務を担っていますが、雇用は不安定なままであり、賃金労働条件についても十分な対応とはなっていません。同じ自治体で働く仲間として、均等待遇の原則に基づく労働条件向上に向けた取り組みをすすめます。
L高齢者再任用制度への取り組み
 高山市では再任用制度が条例化されていますが、運用がされていないのが現状です。一方で定員適正化計画によって早期退職がすすめられており、年金受給年齢が段階的に引き上げられる中で、退職後の生活保障に不安を与えています。今後は、65歳までの段階的定年延長なども視野に入れながら、自治労・公務労協と連携を図り、当局との十分な協議をすすめます。

(4) 政治闘争強化の取り組み
 地方分権、公務員制度改革、福祉、環境等の自治労の課題に対し、私たちの「要求・政策」を実現していくためには政治活動は欠かせません。
今年は8月の市長選挙、来年4月の統一地方選挙と私たちの今後の活動を大きく左右する極めて重要な選挙が控えています。
今後の労働条件、職場環境、そして、わたしたちの生活を維持・改善していくためにも、より一層の団結をもって闘争体制を確立しなければなりません。
特に、統一地方選挙では市労連として引き続き組織内議員を擁立し、私たちの意見を市政に反映させるためにも組合員一人ひとりが全力で取り組まなければなりません。自治労岐阜県本部、連合岐阜飛騨地協をはじめとする地域の仲間とともに政治闘争強化に向けた取り組みをすすめます。

(5) 労働基本権の確立
@団体交渉権・ストライキ権の確立
 2012年の公務員制度改革に向けて、今後の人勧制度廃止後の地方公務員の労使関係のあり方について、自治労が示す活動方針に基づいた活動をすすめ、想定される状況や課題については、共有化を図りながら労使交渉力の向上に努めます。
 A職場における権利確保の取り組み
 現在の権利、既得権を改めて認識し、最大限行使することはこれらの権利の今後の維持・改善のためにも必要です。執行部と職場の連携の下、職場集会を実施するとともに、仲間とともに小さな権利侵害も許さないという活動を展開し、職場の権利確保をめざした取り組みをすすめます。
 B職場の安全衛生確立のための取り組み
 組合員の健康と職場の安全の維持は労働運動の基本的な課題です。しかし、現状では時間外勤務や労働過重、職場等のストレスにより肉体的・精神的に疲れている職員が増加しています。健康で定年まで働き続けることのできる職場づくりのため「安全衛生委員会」の充実を図り、職員の健康の保持増進と快適な職場環境づくりをすすめます。特にメンタルヘルス対策については関係者との連携により、十分な対策が講じられる取り組みをすすめます。

(6) 地方分権の推進と地方自治確立の取り組み

 地域の雇用確保、社会保障の充実など、地域のセーフティネットとして、地方自治体が果たす役割が重要となってくるなか、「補完性の原理」に基づいた基礎自治体の強化が望まれていることから、政策、財政の優先順位の検討を行いながら、自治労本部、県本部と一体となって自治体財政健全化対策に取り組みます。
 地方分権に関わる権限移譲が財源・税源の移譲とセットで行われるよう、また、自治体の自己決定権を拡大するよう、自治労本部、県本部と連携して取り組みます。

(7) 社会保障制度改革に対する取り組み
 少子高齢化が進むなか、高山市においては高齢化率が増加しており、今後は本格的な超高齢化社会に突入していきます。将来的な不安もさることながら、現状に対する不安も大きく、保育、福祉、介護、医療などの社会保障についての機能強化が早急の課題となっています。安心と信頼のできる社会保障制度の確立に向けて、自治労、連合とともに取り組みをすすめます。

(8) 男女共同社会の実現をめざす取り組み
 高山市では、早くから「高山市男女共同参画推進条例」が制定され、男女平等政策、施策の確立に向けた取り組みがすすめられています。今後は、地域での積極的な取り組みも必要なことから、社会全体の取り組みとなるよう推進することが重要となってきます。
 また、今年は「特定事業主行動計画」の見直しがされたことから、制度の周知徹底を当局へ要求していくとともに、男女とも安心して働くことができる職場環境、計画が実践しやすい環境となるよう取り組みをすすめます。

(9) 人権・環境・世界の平和を守る取り組み
 今年度の「平和展」は、7月31日・8月1日に煥章館で開催されました。広島・長崎の原爆に関するパネル展示をメインとし、多くの方にご来場いただきました。
 折り鶴コーナーでは、小さなお子さんが一生懸命に折り鶴を折る姿が見られ、平和の尊さを未来へ伝えていく重要性を感じました。
 また、自治労、連合岐阜が実施する環境保全に関する行事にも積極的に協力します。

(10) 地域労働運動発展強化に向けて
 地域の労働運動は、連合岐阜飛騨地協を中心に活動的に行われています。高山市労連は、地域の労働運動の中核として、引き続き中小労働者の組織支援、地域の労働運動の強化・活性化に向けた取り組みをすすめます。
 また、自治労岐阜県本部と連携し、地域の公的事業者における組合結成を支援し、自治労の組織強化に取り組みます。

(11) 労働金庫、共済運動の推進に向けて
 労働金庫を働くものの金融機関として位置付け「ろうきん」の実施する各種キャンペーン等に積極的な協力を行います。また、自治労ジャンボ共済・長期共済・火災共済・自動車共済などへの加入促進と豊かで安心して働ける生活保障への取り組みをすすめます。

 
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